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2019年4月12日 (金)

『冷静と情熱のあいだ Blu』 辻 仁成  角川文庫

      この街はいつだって光が降り注いでいる。

  

      ここに来てから、ぼくは一日たりと空を見上げなかった日はない。

      青空はどこまでも高く、しかも水で薄めた絵の具で描いたように涼しく

      透き通っている。‥‥

 

 

昨日立ち寄った書店で手にした『冷静と情熱のあいだ』。買ってしまった。

2011年の9月の末から10月に訪れたイタリアのことを思い出すために。

読み進めながら、とうとう最後まで読み続けた。

順正とあおいの交わした約束、「2000年の5月25日。フィレンツェのドゥオモのクーポラの上で…」

その約束は、10年後はたして叶えられるのか、どうか。

 

 

      約束は未来だわ。思い出は過去。思い出と約束では随分と意味が違ってくるわね。

 

      未来はいつだって先が見えないからいらいらするもの。でも焦ってはだめ。未来は

      見えないけれど過去とは違って必ずやって来るものだから。

 

 

フィレンツェで、美術品のレスタウロ(修復)の仕事をしている順正(ジュンセイ)。その先生であるジョバンナ。

母のように順正は慕っていたし、ジョバンナのことばは冷静だが、母親のような大きな愛を感じる。

 

     人はみな未来を向いて生きなければならないのだろうか。

 

サン・マルコ修道院。

サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の「最後の晩餐」。

わたしは私自身の8年ほど前の旅を思い出していた。

 

この書は、同じタイトルで2冊の本が出版されている。江國香織の『冷静と情熱のあいだ Rosso』は、

女性の視点から。珍しい企画である。そして、映画化もされている。

 

 

                                    平成30年4月10日 48版発行

                                         480円+税

 

☆   ☆   ☆

   サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の扉をおそるおそる開きぬ

   蝋燭のほあかり揺らぎ信徒ならぬわたしも祈るかうべを垂れて

   ダ・ヴィンチの描きし「最後の晩餐」を鑑(み)むとて並ぶ人、人、人が

   裏切り者とされたユダなり 裏切るためこの世に〈生〉を享けたのだらうか

   十三個のグラスの並ぶ卓のうへたれも明日(あした)のことさへ知らず

          恒成美代子歌集『暦日』(角川平成歌人双書 平成24年7月)より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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