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2019年5月 9日 (木)

『そこに僕はいた』 辻 仁成  新潮文庫

「おく手でかつ、ひねくれ者の恋の行方」など、18篇のエッセイが

 収められている。

 

福岡の高宮で育ち、小学時代は福岡で暮らす。5年生の冬、北海道の帯広へ、父の転勤のため引っ越し。少年期の辻仁成が生き生きと描かれており、かなりユニーク ? な少年時代だったことが窺える。今に思えば、その才能の萌芽が読み取れる。

集中の博多弁がなんとも心地良い。

 

    何処(どこ)へ、行くとね。

    何か急いでるみたいね。おもしろかことでもあると ?

 

手描きの地図の福岡と帯広が挟まれていたけど、福岡はわたしの記憶なども重なり歓喜。K牛乳店の牛乳って知ってる。まだ筑肥線が通っていた時分。「えんりゅうようちえん」の平仮名書きも懐かしい。

 

高校3年、カフェレストラン「ギンザ」に通いつめる。口髭をはやしキクチタケオの服で身を固め、ポルシェでやってくる泉一彦。そのカッコよさに惹かれた。その一見いかがわしい泉さんが放つ言葉。

 

    どうせいつかは死ぬんだからさ、ばーんと生きれば

    いいんだよ。人間なんて

 

作家、詩人、ロッカー、映画監督。戯曲を書き、演出まで手がける活動の広さ。そして何よりシングルファザー(父ちゃん)として一人息子を育て、養っているのだ。

 

 

                                  解説    城戸 朱里

              カバー装幀 新妻 久典

              平成29年10月25日 36刷

                定価 460円+税

 

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