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2019年6月30日 (日)

『恒成美代子歌集』現代短歌文庫 第144回配本 砂子屋書房

目次

『ひかり凪』(全篇)

『夢の器』(抄)

『ゆめあはせ』(抄)

歌論・エッセイ  竹山 広

         江口章子

         映画「カミ-ユ・クロ-デル」

         鷹女から蕪村へ

         文明の歌・隆の歌

         にがいあそび

         歌碑を訪ねて

         炭坑(ヤマ)の語り部

         時代の危機をうたう


解説      イノセント・ナルシシズム---歌集『ひかり凪』評  大辻 隆弘

        かうべをあげよ--------歌集『ひかり凪』評  久々湊盈子

        花のむこうに---------歌集『夢の器』評   小島ゆかり

        刻(とき)の旅--------歌集『ゆめあはせ』評 花田 俊典 

 

                      2019年5月18日 初版発行

                          1500円+税

 

 

☆    ☆    ☆

以下のかたから評を頂いています。ありがとうございました。

 

 

   母と飲む葛湯の甘さたとふれば〈鳶が鳶生む〉こともまた可(よ)し

                                                      『夢の器』「この世の端」から

 

    (略)調和をとるという点で「こともまた可(よ)し」は絶妙ですよね。

    良の字ではなく可、鷹を産んだ方がほんとは良いだろうけどこれもまた

           エエんや、という主体(子)の肯定し過ぎない自己肯定の絶妙さ。

           「葛湯」を飲む体調の優れない主体の様も、強い人ではなくて弱ったら

           「葛湯」に頼るくらいに平凡、その状況の設定もいいですよ。母も一緒に

            飲んでいるから、母も子と同じく体調が悪いのかな。それが仲睦まじく

            微笑ましくて。………上手いなあ。

                    (志田高ばここ)さん、より。

 

   ひるがへり咲く花水木いつさいのことは忘れてかうべをあげよ

   失ひてふたたびわれに戻りこし心ならずや頬うづむれば

                   『ひかり凪』「水上公園」から

 

    (略)花水木は永続性を象徴する。それは、忘れ続け、戻り続ける思いの

              連鎖だ。断ちきられるからこそ生まれる永続性。断ちきられ、断ちきり、

              そうすることで忘れていたはずの感情が復帰する。それは、同じ対象に

              向かってではない。その対象が変わることで、新たに生まれる感情なの

             だ。それは、あの時に感じた心の動きに似ている。ボクらはその思いが、

             思いの 連鎖であることに気づく。とまどいながら、ためらいながら、

             だが、高揚する心は止まらない。新であり鮮である思いは、かつての

            「私」を失うように留める。それは、例えば「あなた」への思いかもし

             れない。だから、それは創作者としての「私」の、生活者としての「私」

             の齟齬としても表れる。だが、これは、かすかな、かそけき齟齬なのだ。

           (略)               

                                                     (ブログ「パオと高床」)より

 

    

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