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2019年7月29日 (月)

[ポエジー21] 『空間』生沼義朗 北冬舎

2004年から2017年に制作された356首を収める、著者の第三歌集。

「短歌人」編集委員。

 

  生者は青の、死者はグレイのストレッチャーで運ばれておりそれぞれの室に

  感覚は感情に支配されるゆえ昨日濃い水、今日薄い水

  外は雨。とおくに今井美樹の歌聞こえるオフィスは虹のごとしも

  「夫の川」という誤植あり、妻が殺した夫の死体が川を流れる

  家族とは神話だったか、おりおりに思うは一澤帆布のことぞ

  振込をされればただちに固定費は引かれ放銃(フリコミ)しているごとし

  神も仏もいなくなったと思う頃、門の向こうに軍神はいる

  ひと駅の間に「死ねや」が十回も出てくる会話を隣席に聴く

  生活(たつき)から人生までもこじらせる日々やりくりし一つ年とる

  武田百合子が沢田研二(ジュリー)讃える随筆を妻の寝(やす)めるかたわらに読む

 

アトランダムに10首抄出してみた。

雑多な、それでいて、著者の指向(嗜好)するものが伝わってくる。

洒落や諧謔を意図して作った歌では、ないだろう。

著者はいたって真面目なのだ。

 

3首目の「今井美樹」。そういえば大辻隆弘さんの歌に「今井美樹」を詠み込んだ1首が

あった。「あさかげの今井美樹的東京を‥‥」。今井美樹って短歌に馴染む?

4首目、「天」の誤植の「夫」。そこからの発想が「夫の死体」(笑)尋常じゃない。

5首目、「一澤帆布」に発想を飛ばすところがスゴイ。

7首目の結句に「軍神」を持ってくるあたり、テクニカル。

8首目、耳を欹てて聴いたいたのかしら。(笑)

 

と、いうことで感想にもならないような…

 

        栞 西村美佐子 空間という場所

          斉藤斎藤 あなたはだんだん好きになる

          2019年6月30日 初版発行

           定価 1400円+税

 

 

☆    ☆    ☆

夕焼けを見ようとベランダに出たら、夕顔の花が一つ咲いていた。

今夏はじめての夕顔の花。

今朝、水遣りの時に3つ蕾があることは知っていたのだが、その1つが咲いたのだ。

これだと明日も咲きそう。うれしい。

 

  

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