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2019年7月30日 (火)

「水甕」2019年8月号 水甕社

今号には「創刊百年の結社誌が知る検閲の実際」が掲載されている。

この初出は「現代短歌」の2016年10月号。「現代短歌」編集長の諒解を

得ての転載らしい。これが実に読み応えがある。

吉川宏志さんが、春日真木子さんのご自宅にお邪魔してのインタビュー。

 

  戦争末期、空襲はあるし、印刷所は焼けるし、用紙は削減されるし、

  父(松田常憲・真木子さんの父)が「潔くやめませんか」と尾上柴舟に

      言ったら、「いさぎ悪く続けよう」とおっしゃった。(略)

 (略)駄洒落の名手ですから「条件(常憲)がいいから」と言われていた

      そうです。

 

かくして「いさぎ悪く続け」た結果の創刊100年である。

春日さんの語る検閲のことは微に入り細に入りで、ここに書き尽くせないが、

戦前の検閲と戦後の検閲の違いなども具体的に語っている。

そして、検閲の結果、掲載するべき短歌を削除される。

歌会を開くと特攻が来る‥‥なんて、信じられないようなことばかりだ。

 

  歌人がどのように戦時中に抵抗したかを学ぶことが、いま大切なのかも

  しれません。

 

春日さんのことばは、戦中・戦後を生きてきたひとの、体験者の言葉としても

尊い。このインタビュー、是非お読みくだされ。

同号には「斎藤茂吉短歌文学賞」贈呈式での春日真木子さんの受賞の挨拶も掲載

されている。

 

  (略)私は九十歳を前に、すんなり老いに入って行きたくなかったのです。

   夕日だって明るく燃えて落ちるではありませんか。あれは明日また燃えるという

   当てがあるからだと思うのです。ですから私は自分の衰えを見せまいと思って

   厳しく老いを閉じたのでございます。(略)

 

 

ここまで写して泣きたくなってしまった。

春日さんの年齢まで生きるにはまだ15年もある。なのになんだろう、

わたしのこの弱気は‥‥

こんなすてきな挨拶をなさる春日真木子さん、あなたの百分の一でもいい

エネルギーが欲しい。

 

 

☆    ☆    ☆

帰宅すると、ベランダのゴーヤが黄熟していた。

今日は身も心も疲れている。

悲しい。

 

 

 

 

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