« 2019年7月 | トップページ | 2019年9月 »

2019年8月

2019年8月31日 (土)

季節の便り(29)新涼

朝顔の花を数えたら、26個咲いていた。

濃いピンクに白い筋の入った「曜白朝顔」。この1種類のみ。

ことしは朝顔の花が沢山咲く。

 

そういえば夕顔も毎夕、1つ2つと咲き、一昨日は3つ咲き、昨日は4つ咲いた。

去年の日誌を見ると9月に入ってからの方が沢山咲いている。

 

今日で8月もおしまい。

キャンセルや忘れ物・落とし物をあれこれして散々な8月だった。

なかでも買ったばかりのカーディガン風のジャケットは1度しか袖を通していず、

惜しまれた。パラソルも結局出てこなかった。(自重・自重。)

 

          天上もわが来し方も秋なりき   中村 苑子

 

 

 

 

 

2019年8月27日 (火)

歌集『晨光』十鳥敏夫 飯塚書店

「ヤママユ」同人・運営委員の第八歌集。388首を収める。

歌集題の「晨光(しんくわう)」は、杜甫48歳の時の詩、

   幽尋豈に一路ならんや 遠色諸嶺有り 晨光 稍く朦朧たらば

   更に西南の頂を越えん

 

「ひとすじの光を求めて新しい旅に出立しようとした杜甫の心は、

現在に通じるものがあるのではないだろうか。」とあとがきに記す。

 

   おのづから死者の数ふゆ春ごとの花を訪ねてよはひ古るれば

   西行の求世(ぐぜ)のさくらに五濁なほ持て余しをるこころをどうする

   神の名において戦ひしこの国は次は何の名で戦ふならむ

   沖縄に眠れる不発弾二千トン処理にこれから七十年と

   人間がにんげんをころすが戦争といふたうぜんを映像は見す

   飲むほどに両手ひらひら踊り出す島びとたちのこの命力(ぬちぢから)

   をさなごと母と撫子を手折(たをり)をり百年のちも平和であれかし

   赤紙が来つればいのちは神頼み詣でしわかもの数やほよろず

   たつた一つありにし恋は南天の実が知れるなり 方代の歌に

   若葉光(わかばくわう)、新元号はめでたけれどそんなに浮かれゐて

         いいのか知らん

 

 

非戦の思いがそくそくとして胸を打つ一集であった。

10首あげたが、わたしが余計な解説や鑑賞をしない方がいい。

是非、このホネのある歌集を手にとられて読んでほしい。

 

2首だけ、追記。

2首目、作者には『西行の花』の評論集もあるくらいに、西行贔屓。

   「西行&十鳥」とも呼びたいほどの、西行ノボセ(笑)

   「五濁」って、何なんでしょう?

9首目は意外も意外。山崎方代サンの歌が登場する。この歌は好きな

       人が多い。

    「一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております」

 

 

           令和元年8月10日 第一刷発行

              1500円(税別)

 

 

 

 

   

2019年8月26日 (月)

歌集『はちぐわつ』佐藤伊佐雄  現代短歌社

作者・佐藤伊佐雄さんは広島県の宇品にお住まいである。

宇品埠頭には先生の歌碑が建っている。

   陸軍桟橋とここを呼ばれて還らぬ死に兵ら発ちにき記憶をば継げ

                           近藤 芳美



佐藤さんはジャーナリストとして活躍され、近藤芳美のドキュメンタリー番組を

広島のテレビ局で制作したことがあるそうだ。そんな縁もあって60歳を過ぎて、

短歌の世界に入って来られた。

このたびの第一歌集は、「未来」に入会した2012年秋から2019年春までの作品、

364首を収めている。

 

   片仮名でコレガ人間ナンデスと民喜が詠みし街のかげろふ

   標的となりたる橋を潜るときあぎとふこゑの風に顕ちたり

   終の日に〈崩御〉拒みて伝へたる吾に届きし異動辞令書

   白き雨そぼふる朝に碑に刻む「記憶を継げ」の文字の旧りたり

   堕ちたではなく落としたのです死んだではなく殺したのですピカドンは

 

1首目、原爆体験を小説にした『夏の花』の原民喜。

2首目、米軍の爆撃機が標的にし原子爆弾を投下したのは、広島の相生橋。

3首目、昭和天皇の〈崩御〉の言葉を巡って、決意をもって〈逝去〉の言葉を

   選んだのだが、「異動辞令」が下ってしまう。

4首目、歌碑に刻まれた「記憶を継げ」は、この歌集の題にも込められている。

 

 

気骨ある佐藤さんの歌が随所にある。それは佐藤さんの思想でもある。

そんな中にあって、心がふっと和らぐような下記の歌がさりげなく収められている。

 

    総身の葉うらを見せて戦ぎたるポプラ一樹はひかりをまとふ

    夕さりに茅花の穂綿しづまりてあはきひかりの風を待ちをり

    私は雲雀になつて空に消えます鉄路に倚りて妻を追ひたる

    天蓋を透きて広ごる虚空には三月のあをさんぐわつのしろ

    銹色の落葉を破(わ)りてさえざえと筆りんだうは青をほどきぬ

 

被爆から74年を迎えた広島、その広島の宇品の地から、これからも

気骨ある歌、やさしい歌を紡いでいくことだろう。

 

 

               

              跋  「時を背負う覚悟」 大辻 隆弘

                  2019年8月6日 発行

                     2500円+税

   

 

 

 

   

2019年8月18日 (日)

花山多佳子歌集『鳥影』 角川書店

『晴れ・風あり』以後の作品を収める。第11歌集。

1968年に「塔」に入会しているから50年以上「塔」に在籍している

ベテラン。「塔」選者でもある。

 

   めぐりみな若かりしかばめぐりみな老い人となる時は来向ふ

   布団の中にトランジスター・ラジオ持ち込みて浪花節聴きゐしは

        ほんとにわれか

   蒸し暑きこの夕まぐれ新米に手をさし入れてしばしを居りぬ

   刑務所の面会のごとしパソコンの画面の息子と言葉を交はす

   トランプの神経衰弱の気合ひもてプリントいちまい畳にさがす

   バスタオルの柄みな淡くなりたるをたたみつつゐて秋の夜なり

   うつむける幼子の口とがりつつボタンは穴にほら、通りゆく

   はらはらと飛び立ちゆける鳥影をいくたび見しや冬の散歩に

   「見る」と宣言をして鉄柵をにぎりしめたる子は川を見る

   左眼を手もて覆ひて読みゆくに脳はんぶんで読む感じせり

 

 

1首目、そういうことなんですよ。50年前はみんな若かった。

  その若かった「めぐりみな」も「老い人となる時」は、抗えない。

    ーー「芸術は長く人生は短し」(ヒポクラテス)ーー

2首目、「ほんとにわれ」なんですよ。自分でも自分のことが度し難い(笑)

    --「三たびわが身をかえりみる」(論語)ーー

3首目、忘我のひととき、至福のとき。新米はひゃっとして気持ちいいのかしら?

    ーー「物は試し」ーー

4首目、テレビのドラマなどで刑務所の面会などが放映されている。

    ただちにその場面が浮かんできたのだろう。母親である作者とカナダに

           居る息子がパソコン上で言葉を交わすことが出来る時代になったのだ。

5首目、いちまいのプリントとはいえ、気合を入れなければ出てこない。

    --「一念岩をも徹す」ーー

6首目、結句の「秋の夜なり」がまさに打って付け。夏の間、何度も何度も洗った

         バスタオルは陽に晒され、柄の色が落ちて淡くなってしまっている。

         生活の草臥れ感もただよう。

    --「明日は明日の風が吹く」ーー

7首目、ばあばが手を出したらいけん。

    --「初心忘るべからず」

8首目、歌集題になった歌。「雀鷂(つみ)とふ小さな鷹の白き腹みあげてゐたり

    五月の梢(うれ)に」の歌も好きだな。「あとがき」によると、

         雀鷂(つみ)は、カラスよりも弱い鷹だそうだ。

9首目、宣言をするところがカワユイ。わが愚息も幼子のころは何をするにしても

    「宣言」してたな。たとえば「オシッコ」とか…

10首目、2首目、3首目もそうだが、これぞまさしく花山多佳子の歌だ。

    この10首目など、なにやら哲学的でさえある。脳はんぶんで読んだら、

          あとの半分は明日つかえる?

    --「濡れ手で粟」ーー

 

と、まぁ、「ことわざの読本」を傍らに読み終えた『鳥影』。

不謹慎でごめんなさい。花山さんの「大根」の歌が強烈だったので、脳裏に

刻み込まれ、ついつい、そのような路線の歌ばかりを挙げてしまいたくなって、

困る。ほんとうに困る。

 

 

              2019年7月25日 初版発行

               塔21世紀叢書第353篇

                 2600円+税

 

2019年8月17日 (土)

歌集『微風域』門脇篤史 現代短歌社

「風に舞ふ付箋紙」にて、第六回現代短歌社賞を受賞した門脇篤史さんの

第一歌集。歌集のタイトルの文字がゴチックではなく、細字なのが特徴的。

帯も「あとがき」も無い。

帯があれば「第六回現代短歌社賞受賞」作品を含むと惹句を付けたで

あろうに。潔いというか、潔癖なのかしらん(笑)

 

   側溝に入れなかつた雨たちがどうしやうもなく街をさまよふ

   置き傘をときどき使ふ傘であることを忘れてしまはぬやうに

   来年の夏がきちんと来るやうに使い古した付箋を貼りつ

   いつからか蛍光灯は間引かれて我らを淡くあはく照らせり

   鎮魂の儀式のごとく食器から値札シールをひたすらに剥ぐ

   権力の小指あたりに我はゐてひねもす朱肉の朱に汚れをり

   アヲハタのジャムの小瓶に詰めてゆく自家製ジャムのたしかなる熱

   故郷との距離思ひをりひとり立つコイン精米機の薄明かり

   子をなさぬ理由をけふも問はれたり 梅雨の晴れ間に散歩に行かう

   二分半ひかりを浴みてパンの上(へ)に正方形のとろけるチーズ

   故郷から届く馬鈴薯いくつかは鍬の刺さりし跡を残して

   今はなき臨終図鑑の上巻を誰に貸したか思ひ出さない

 

門脇さんの作品を纏めて読んだのは多分「はつか」(2017年1月22日 発行)

だったと思う。旧仮名遣いに先ず注目し、端正な歌に惹かれた。若い作者だと

思ったが、歌が騒がしくない。沈静された佇まいを感じた。(自分の中に確たる

ものを持っているひととお見受けした。)

 

拙ブログ「暦日夕焼け通信」(2017年6月12日)で、「はつか」の門脇さんの

作品の感想を記しているのをこのたび読み返してみた。チェックした歌は殆ど

変わっていない。ただ、今だったら6首目の「権力の小指あたりに我はゐて

ひねもす朱肉の朱に汚れをり」は、10首の中だったら外していたと思う。

それは「権力の小指あたりに」の部分がやはり気になるのだ。これは

わたしの指向が2年経過して変わったのだと思いたい。

 

2首目、3首目はともに「やうに」の比喩があるのだが、言い得ていると思う。

作者の生真面目さが良いかたちで出ている。

 

10首目の「とろけるチーズ」の歌は「正方形」が際立つ。わたしなども経験

しているのに歌には出来ず、というより鈍感なんだね。

   

12首目の歌、結句の「思ひ出さない」に門脇さんの大仰に言えば信念がある。

「思ひ出せない」のではなく、思い出したくないのだ。思い出しても結局

戻って来ない(返してくれない)ものは、思い出さないほうがいいのだ。

精神の安定のために(笑)

 

ともあれ『微風域』の世界は貴重だ。

この精神世界は貴重だし、保ち続けてほしい。

 

ところで、門脇さんって、島根県生まれなんだ。

わたしの父方の故郷が島根県邑智郡川本町。(よけいなお喋り(笑))

父は島根県から大分県の跡取り娘のうちに養子に来たのだ。

今でもあの「江の川」が時々目に浮かんでくる。

 

              栞 人間の「生」      楠 誓英

                絶望的な日常のなかで  阿木津 英

                ジャムとボイルドエッグ 内藤 明

                   2019年8月11日

                    2500円+税 

 

 

 

               

   

2019年8月16日 (金)

歌集『古酒騒乱』坂井修一 角川書店

2015年春から2017年春までの作品から、423首を選んで収めた第11歌集。

著者は、2015年5月より「かりん」編集人となっている。

「(略)焼酎、ワイン、泡盛、日本酒と思いのほかお酒の歌が多く(略)」

と、あとがきに記している。

 

  いきのこるこの苦しさや春ふかくスマートフォンがまだ鳴きやまぬ

  終はらない書いても書いても らつきようが夜中にひかるわたしの机

  けふこそは仮病で退かめ ねがへども飛行船さつきから動かない

  去りがたきページよここに與謝野晶子老いて売文の悲しみを告ぐ

  こもれびよ先生になつて二十年無芸小食笑はれながら

  いたづらに阿呆のふりして笑止よと『亀のピカソ』をいひしひとあり

  ふうとつく五十七歳息ふかし付箋の先がまだ揺れてゐる

  おとほしのちりめんじやこのちさきやま黒きてんてんの目があり悲し

  寒梅の二合、久保田の一合をのみどに送るわれもゆふやけ

  わがうたの詠み人知らずとなる日来よつばさをかへす宇陀のつばめよ

  この亀はこころの旅をしてゐるか石につまづき石のふりする

  かいつぶりなぜ子を持つや子のわれはちちはは捨てて歌なぞ詠むに

 

 

黄金千貫、剣菱、若山牧水、赤霧、黒霧、ちらんほたる、泡盛、等々の歌が

あるにはあるが……。メラム・カクテル、カベルネ、デキャンタ、チェダー、

ゴルゴンゾーラ、サンジョベーゼとなると、わたしにはお手あげだ。

結局、お酒の歌は9首目の1首のみあげた

 

そういえば坂井さんが『短歌往来』で連載していた「世界を読み、歌を詠む」

では「お酒の素人」などと、ぼやき?ながらも、いろいろな国のお酒を紹介して、

その飲み方まで伝授(笑)していた。

 

   (略)酒の名はアグアルディエンテ(舌を噛みそうな名前だ)。サトウキビの

     蒸留酒である。これを切り子ガラスの杯に入れて、ストレートでひと口

     やるーーアグアルディエンテはラム酒の仲間だが、ふつうのラムよりも

     香りが強く甘い感じ。

                       『短歌往来』2019年4月号より

 

   (略)冷蔵庫からグランクリュを出して、グラス三分の一ほど注ぐ。ほんの少し

     だけ黄緑がかった色合い。柑橘系の香り。シャルドネの冴えた味わい。

     ミネラル感。(略)

                       『短歌往来』2018年11月号より

 

と、まぁその回(著書)に合うような、お酒を選び、味わいながら、読み進めてゆく

スタイルは大人の文章の感じがして、とても好きだった。

さてさて12首引用したので少しでも鑑賞してみたい。

 

2首目の「らつきよう」はお酒のアテなのかしら。「書いても書いても」に合う。

3首目、仮病で早退したいのだけど、あの飛行船のように動けない。

6首目は前歌集の『亀のピカソ』を誰かが揶揄って「いたづらに阿呆のふりして」

   と言ったのだろう。少しは心当たりがあったのだろうか?

9首目の結句「われもゆふやけ」がいい。この夕焼けは気持ちいい夕焼けだ。

10首目、せつなる願いでもあろう。

12首目の歌の結句が気になって仕方なかった。「歌なぞ詠むに」とある。

   漢字にすると「歌謎」と読めないこともない。

   単純に「歌など詠むに」の、「ど」ではダメなのかな、と。

   広辞苑で調べてみると、「何(な)ぞ」ナニソの転。何であるか。

   どうして。なぜ。なんという。どんな。の意とある。

   誤植かなぁと早とちりしたけど、そんなことはなかった先生は(笑)

 

 

                       2019年7月25日

                       かりん叢書第348篇

                       2600円+税

 

 

 

 

 

 

  

2019年8月 8日 (木)

夕焼けが消えてゆくのを‥‥

高層階の窓辺で眺めた夕焼け。午後7時20分、なんにもいわずただ眺めていた。

 

    夕焼けがこわいのですか夕焼けを見ていることがこわいのですか

    夕焼けが消えてゆくのを見ておりぬ壊れたアンドロイドのように

       本川克幸  歌集『羅針盤』)(2017年11月 砂子屋書房刊)より

 

 

本日の3時のおやつはHさんから頂いた「加賀紫雲石」。

丹波産大納言小豆が甘く、寒天で固めている。

わたしは2つ食べた。彼はようやっと1つ食べた。

 

夕焼けを二人で見たいために長居してしまったが、昨日に続いてカミナリに

出遭う。帰りのバスは散々だった。男性の人が怖かったのか奇声を発する。

よっぽどコワイ思いをしたのか「運転士さん大丈夫ですか?」と大きな声で問う。

 

雷三日(かみなりみっか)というから、明日もカミナリが鳴るかも……

 

 

☆    ☆    ☆

22時、上弦の月がお出ましになられた。

   木星も輝いている。

そういえば、今日は立秋。

もう「秋」の始まりなのだ。(暦の上では、ね。)

 

 

 

 

2019年8月 7日 (水)

鳴神の音が怖いの‥‥

久留米から天神へ向かう急行電車。

16時には天神着の予定で向かったのに、二日市の手前でゴロゴロと

鳴りだしたカミナリ。閃光がやたら目に入る。

落雷のためか、とうとう停電して、電車が停まってしまった。

30分も電車内で待機。

 

   いちはやく隠れるMOMOや。鳴神の音が怖いの、わたしもこはい

 

 

本日は旧の七夕。

珍しくケーキが食べたいと所望(笑)され、ケーキを土産?に。

そういえば、先日Sさんから頂いたゴトウ農園のシャインマスカットは美味。

果物はあまり食べないひとなのに、このマスカットは食べてくれる。

 

機嫌よく毎日を過ごしたい。

いまはそれだけ。

上弦の月になるのは明日だけど、今夜も月が綺麗。

 

 

2019年8月 6日 (火)

本日6日の歌会は、台風接近のため中止します。

本日6日昼過ぎに台風が最接近するみたいです。(午前8時現在)

何ごともなく、福岡上空を過ぎるのを祈るのみです。

従って本日の歌会は中止します。

みなさま、よろしくお願い申し上げます。(午前9時 miyoko)

 

 

 

« 2019年7月 | トップページ | 2019年9月 »