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2019年11月 4日 (月)

『84歳の母さんがぼくに教えてくれた大事なこと』 辻 仁成 KADOKAWA

「作家・辻仁成の半生とともに語られる母の人生訓」とは、帯の惹句なり。

辻さんの少年時代が生き生きと綴られている。

辻少年を見詰める母のまなざし、そのまなざしのなんと慈愛に満ちて

いることか。そして、何よりもいたるところに母の金言が飛び出す。

<箴言>とでもいうべきか。

 

刺繍教室のお弟子さん一人一人に誠実に向き合う母。

 

   人間にはね、楽しく生きる権利があるんですよ。同じように死ぬ権利も

   ある。その二つをきちんと噛みしめて生きるとね、与えられた一生が尊い

   ものになります。たった一度の人生、くよくよ生きても、楽しく生きても

   それはあなたの自由だからね。私はこう思います。誰にはばかることなく

   生きたらいいんじゃないかって。でしょ。せっかく権利があるんだから。

 

「母さんとは何者か」の最終章の言葉が実にいい。

これぞ、気合十分の母堂である。

 

   ひとなり、よかか。人の踏み台になるな。敬意のない人間と仕事をしては

   ならん。お前も付き合う人たちには敬意をもって向き合え。お互い尊敬し

   あった時に人間は伸びるし、成功は訪れる。リスペクトのない人間関係は

   続かない。よかか、誰のための人生だ、と思え。それはつねに自分のための

   人生なんだ。自分が幸せにならなければ人を幸せにすることはでけん。誰かを

   幸せにしたいなら、まず自分が幸せになれ。幸せは人に伝わっていく。(略)

 

 

著者が作家になったばかりの頃に、母さんから言われた言葉。

 

   ひとなり、依頼されたらすぐに仕上げてしまえ。そうすればお前には

   時間が与えられる。その時間でまた別の作品と向き合えばいい。人生が

   二度美味しくなる。

 

 

とは、云ってもねぇ。(笑)

 

「大野島のマドンナ」と呼ばれていた頃の母さんが実に可愛い。(P171写真)

この本が売れるのはうれしいけど、「母さん」有名人になってしまって、

それはそれで困ったり…(笑) しないかなぁ。

 

 

                                2019年10月31日 初版発行

                 1500円+税

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      

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