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2019年12月21日 (土)

『廃人』北大路 翼  春陽堂書店

「半自伝的エッセイ」と銘打たれた一書。

お正月の旅行に携えようと思っていたのに、つまみ食いならぬ

<つまみ読み>をしてしまった。読みかけたらとうとう全部読んで

しまった。

写真が沢山ちりばめられているし、俳句を筆書きしたのなどがあり

読者を飽きさせない(笑)。

 

    (略)この頃からアウトローをウリ(、、)にした俳句の出演が

     増えた気がする。前歯がないまま人前に出ることにも慣れてきた。

     だってアウトローだもん。スタジオに酒を持ち込んだこともあるし、

     アウトローっぽく振る舞うことが世の中の期待に応えているんだと

     思うようにもなってきた。真面目だなあ。まあ、だらしなくしていれば

     いいだけなので、それはそれで好都合なんだけどね。(略)

 

やっぱり、真面目。そして正直なんだ。

「自序」も、あとがきの「それでも明日はやってくる」もカッコいい。

     

     俳句は死んだ僕が生きていたときの記録だ。墓碑だ。

     下手くそな字を刻んだので笑って欲しい。

 

     「今」は一瞬だ。

     次々に死んで行く。

     お前も墓を作って一服しようぜ。

              (「自序」より抜粋)

 

「能ある鷹は爪隠」さず、章立てが「あめつちの詞」にならっているのには

魂消た。仮名48字の組み合わせで平安初期に作られたものを踏襲している。

「あめつちの詞(ことば)」とは、恐れ入った。(笑)

 

ともかく、読んで、愉しめる。

むかしの彼女から「相変わらずガラ悪いね i 」と言われるのも、宜なるかな。

 

しかし、写真がどれもいい。

どの写真も<北大路翼>を具現している。

(「ぼろぼろの小筆のやうな残暑かな」の、右ページの写真がいい。)

(「明滅は悲憤即ち朝と夜」の写真も好き。)

 

そして、そして、やっぱりいちばん好きな俳句は、

 

     俺のやうだよ雪になりきれない雨は

 

 

        2019年11月13日 初版第1刷発行

             2000円+税

 

 

 

 

 

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