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2020年1月

2020年1月29日 (水)

歌集『暦日』恒成美代子 角川書店

 

  軒下にアロエの花が咲いてゐた もう頑張らなくていいのよ

  誰もたれも遁れられない死がありて 知らぬかほして満員電車に

  知覚する痛みにあらず白雲は流れゆくなり海のあをさに

  吉兆をうらなふ神籤末吉で子年ことしは「居安思危(こあんしき)」

  らむ

  暦日(れきじつ)のつづくを乞へり 共棲みのよんせんはつぴやく

  よんじふににち

  わたくしがわたしを凌辱してること知つてゐるのはわたくしだけだ

  どなたにも生きて負ふ苦があるやうな 見せかけだけでも元気でゐたい

  信仰で私がかはるものならば救はれるなら、ねえガスパル様

  しばたたくわが眼前に泣きさうな白いさざんくわ赤いさざんくわ

  引き寄せられ肩抱かれし刻(とき)のまをああんああんとたましひが哭く

 

 

              平成24年7月24日 

               2571円(税別)

  

  

2020年1月27日 (月)

PC不調のため休止中です。

雨です。

寒いです。

PCも疲れたのか、動きが緩慢となっています。

メールの送受信も、停滞しています。

みなさまにご迷惑をお掛けしていますが、

しばらくの間、お時間をください。

元気になって戻って来ます。

              miyoko

 

2020年1月15日 (水)

季節の便り(38)新年会

11日(土)に続いて、2度目の新年会。

ホテル〇〇〇〇〇〇にて。

「着衣始(きそはじめ)?」のひと、3人。やっぱり着物はすてき。

<3人官女>などと揶揄って、写真撮影。笑顔がなんといってもいい。

 

先ずHさんのお謡「老松」を神妙に拝聴。朗朗とした声に聴き惚れる。

謡をはじめて60年になんなんとすると言うだけあって堂に入ったもの。

お酒を所望せず、ビールで乾杯。

 

竹製の盛り籠に並べられたお料理の美しいこと、可愛いこと。

皆さん、食べるのを忘れて「インスタ映え」するからとスマホに夢中。

    ミックスマンゴー酢

    目撥鮪 油ボウズ博多

    菜ノ花鰊漬け

    零金子カステラチーズ麩田楽

    白胡麻豆腐

    紅茶鴨芥子煮

    鮭柚庵焼き


7品が彩りよく並んでいる。

いずれも美味しかったが、ことに「紅茶鴨芥子煮」が美味であった。

茶碗蒸し・真鯛袱紗味噌仕立て・黒千石御飯もおいしくて、デザートの

焼芋プリンを食す。

時を置かず、ケーキとコーヒー。

ケーキが皆さんそれぞれ違って「ああ、そっちを食べたい」とか、賑やかなこと。

 

それはそうと、本日は「女正月」。

女のひとが一日中仕事を休み、遊ぶ日らしい。

別名、小正月とも呼ばれるらしい。

しかし、昔と違って現代は通用しない?かな。

 

 

 

 

 

2020年1月14日 (火)

歌誌「月光」 2019年12月 №.62

   特集『バリケード・一九六六年二月』刊行五十年

級友樽見への言問いで始まる第一歌集『バリケード・一九六六年二月』

刊行は一九六九年秋、時代は激しく揺れていた。……

 

   樽見、君の肩に霜降れ 眠らざる視界はるけく火群(ほむら)ゆらぐを

巻頭の一首から始まって、人口に膾炙された歌がひしめく。

 

   ここよりは先へゆけないぼくのため左折してゆけ省線電車

   その日からきみみあたらぬ仏文の 二月の花といえヒヤシンス

   二日酔いの無念極まるぼくのためもっと電車よ まじめに走れ

   あじさいは雨に翳りていたるともよしや ひとりのわれとおもうぞ

 

加藤英彦の「粛々と歌い死すべし」を読む。

副題は、『福島泰樹全歌集』以後について

 

   死者を詠う福島が、現実の醜悪さから目を背け死者との甘美な感傷に

   浸らないのはなぜか。それは、福島のなかに死者は生身の存在として

   生きているからであり、その死者たちの生きた口を通して現実の虚妄を

   撃とうとするからである。(略)

 

田中綾の「溌剌たる孤立感」も岡部隆志の「『バリケード・一九六六年

二月』を読む」も、福島泰樹の歌集を十全に論じている。

歌集刊行から50年、「50年経ってまだ孤立していると言えるだろう。」の

岡部隆志の言葉にわたしも共振している。

 

この特集の「Ⅱ 一九七〇年代の論考より」は、垂涎の的。

 

    メッセージーー福島泰樹へ   塚本邦雄

    反骨に伴う気品        中井英夫

    その前夜           寺山修司

    走り続けた十年間       菱川善夫

    非人称のエレジー       磯田光一

    福島泰樹「境界を生きる歌人」 小笠原賢二

 

永久保存版にしたい特集号であった。

 

         2019年12月31日 発行

           定価 1000円

 

思いたって書棚より『遥かなる朋へ』(沖積舎 昭和54年5月)を取り出し、

同時並行しながら読む。この一冊には『バリケード・一九六六年二月』は

勿論だが『エチカ・一九六九年以降』・『晩秋挽歌』・『転調哀傷歌』・

『風に献ず』も収められている370ページの大冊である。この書の解説で

岡井隆は「青年はせっかちである。しかし、福島ほどせっかちに歩み続ける

(駆け続ける)人も多くあるまい。彼はなんと、この九年の間に、六冊の歌集を

出している。(略)」と記している。

 

余談だが、この『遥かなる朋へ』の扉には福島さんの歌1首が太い

万年筆で書かれている。

 

    なにゆえに来たれるなるや六月の花より暗くわれはおりしに

 

どこで所望して書いていただいたのやら?

 

 

 

             

2020年1月 8日 (水)

短歌同人誌「穀物」第6号 

  泣いて観た映画のことを話すとき君は古典派の指をしてゐる

  切りすぎの爪のいたみを走らせてアルぺジオとはひかりの鎖

  こころは声にこゑは夜霧にながれつつなぐさめてくれなくていいから

  しばらくはここにゐるから連弾の真似事をする一つの椅子で

                「夜霧を踏む」より 濱松哲朗

 

  まひるまの空港のこの明るさに人は歩けりみな顔を上げ

  君が乗る便は探さず対岸の街を見ている展望デッキ

  電話口の声の暗さに気をとられそこから別れまで速かった

                「花を吐く」より 廣野翔一

 

  電子レンジで卵を爆破したのちに泣きながら食うからい焼きそば

  歌舞伎町のルノアールで置いていかれる濡れた犬のようなわたしだ

                「栞」より 狩野悠佳子            

 

  夜の雲を抜けて降りゆく東京の光の縁(ふち)は海に滲めり

                「蛹」より 小原奈実

  天使にも竜にもあらぬこのからだ銀のヒールの台座に載せて

                「竜のくちべに」より 川野芽生

  しゃべるとき語尾が若干西に行くあなたしか言わない二人称

                「放水路」より 新城達也

  怒りから怒りを漉いていくみたい手延べそうめん水にくぐらす

                「すいかと煙草」山階 基

 

とりあげた歌の数がまちまちなのは、他意があってのことではない、

とも言えない(ゴメン)。

出詠歌のいちばん多い濱松哲朗さんは30首。いちばん少ないのは

小原奈実さんの8首だからその点も考慮。(なんて言い訳みたいね。)

でも、皆さんの歌の迫力に押されっぱなし。

いいなぁ、いいなぁと思いつつ拝読。

 

それにしても濱松さんって「アンダーコントロールの欲望」と題して、

山階基さんの歌集『風にあたる』を論じていたけど、力作だった。

ちょっと力を入れすぎの感、なきにしもあらず。

    結局お前はどっちに行きたいねん !

などと、苛立ちを軽口で和らげつつ、しっかり分析・考察しているのは

さすが。

    読者をアンダーコントロールの状態に置くことを優先させたいのだ。

 

    「ストーリーテリング」という評価自体を拒絶する必要はない。

 

なっとく、納得。わたしもそう思う。

山階さんには山階さんの方法論があると思うけど、あまり硬直?しない方が

いい、と、甚だ無責任に思ったりしている。

 

川野芽生さんの「あともどりできない歌」は、優等生の文章らしく

纏まっていた。(褒めているんですよ。)

 

それにしても、濱松さんと廣野さんの第一歌集を早く読みたい。

ことしこそ、読ませてください。

 

                      2019年11月24日発行

         組版・装幀 山階基

         定価・400円   

 

 

     

 

  

  

            

2020年1月 7日 (火)

『海峡の光』辻 仁成 新潮文庫

少年時代「私(斉藤・主人公)」を虐めの標的にしていた花井が

私が看守として勤めている刑務所に入所して来た。

当時の花井は外面は優等生で、クラスメートたちの人望も厚かった。

しかし、花井の狡猾な、内面に潜む企みを見抜いていたのは「私」

だった。

 

   お前はお前らしさを見つけて、強くならなければ駄目だ。

 

19年前、函館桟橋で花井に言われた台詞だった。

その同じ言葉を仮出獄の花井に告げた「私」。

 

過去と現在、塀の外と塀の中、闇と光。

この『海峡の光』は、答えがない。無いというよりも

読者に委ねられているようだ。

花井が面会に来た母親に告げた言葉は意味深い。

 

   ねぇ母さん、世の中の外側にいられることの自由って

   分かるかい?

 

辻仁成さんの文章はどのページを開いても美しく抒情的である。

この書の先ず1行目からぐいぐいと作品の中にいざなう。

 

   陸(おか)に上がった後も海のことがいつまでも

   忘れられない。

 

 

          解説 江國 香織

         平成31年4月25日 13刷

           430円+税

 

 

*   *   *

コートを着て外出したら途中で放りだしたいくらいの暑さだった。

ヒートテックスのシャツなど着ていると、汗ばむ暑さ。

福岡・19℃。道理で暑い筈だ。

風に吹かれていると心地いいくらい。

満月4日前の月と伴走?しつつ帰宅。

 

 

   

2020年1月 6日 (月)

『恋するように旅をして』角田光代 講談社文庫

   まるで熱烈に恋をするようにアジアにひかれて、時間が

   あるとすぐに、アジアのどこかの国へ向かうようなことを、

   ずいぶんまえからくりかえしている。同じ場所へいくよりは、

   見知らぬ場所へ向かう。

              「ミャンマーの美しい雨」より

 

角田さんの旅のエッセイははらはらドキドキする。

当然のごとく道に迷い、危険な目に遭う?

それでも旅を続行し、独行する。

 

あらあら、新年のご挨拶が遅れまして、失礼いたしました。

わたしは旅にも出ず、「引きこもり主婦」をしてもいず、ひたすら

<私>に奉仕?していました。

年末年始の10日間が過ぎたとは信じられないくらいです。

『恋するように旅をして』読了。

この「文庫本あとがき」に書かれていた言葉を反芻しています。

 

   私にとって、旅は見知らぬだれかに出会うことである。

   だれにも出会わないで旅することは不可能だ。

 

       

                        解説 いしいしんじ

       2012年2月1日  第8刷発行

          550円+税

 

 

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。 miyoko   

   

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