« 「水甕(MIZUGAME)」2020 №107 | トップページ | 同人詩誌「X (えっくす)」 »

2020年2月 6日 (木)

歌集『秋光記(しうくわうき)』恒成美代子 ながらみ書房

   着膨れて泣きゐるあれはわたくしか東の空に動かぬ凍て雲

   書棚には百八十冊のリュウメイ本並びてあなたは信者であつた

   白昼の甘い回想 思ひ出は螢袋に閉ぢこめませう

   むかしむかしのこと思ひ出すさみしさはいくつになれど 上弦の月

   そのやうにしか生きられぬ秋の虫 鳴くだけ鳴いて静かになつた

   幸せのうすい皮膜が裂けてゆくやうな入日を見送るわれは

   醸成月(かみなしづき)香椎の宮に契りして十と九年わたしとあなた

   大三角見しことメールに発信し、しんじつ遠し息子はとほい

   春だから、さびしさ兆す春だから、ローズピンクの服を選びぬ

   からつぽの器(うつは)に満たす朝の水みづは溢れて零れゆくまま

 

              2016年6月1日 発行

                2500円(税別)

 

 

 

« 「水甕(MIZUGAME)」2020 №107 | トップページ | 同人詩誌「X (えっくす)」 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事