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2020年3月19日 (木)

詩 「ある消息」 中野 修

      ある消息    中野 修

 

  燠のきえるながさに息をつく

  すずしい疲労にたたまれてある明滅

  生きのびるためにすりよせる

  わたしの振幅は

  深夜となれないまま黒ずみ

  表層となってあらわれるまずしい指令

  そぎおとしてゆく消息には目もくれず

  年代記の裏側につながれてあるもの

  あえかなる未決

  ひややかなぬくみとなって流入し

  欠けたままある死の椅子

  誰のものでもなくなった野のしらべでは

  情意のようには眠れない

  消息する燠をおもい

  つたえることを拒んだ熱によってつれさられる

  このままあるいは予定されたまま

  寸分の狂いもなく行為された書記

  偽の年代記をひるがえすこと

  それは

  ゆうよされた口笛が夕暮れをよび

  ただひとことを告げるためにもわたしを訪う

  許されたまま朝への回景をとどめおき

  そこで影だけの排泄に草稿の不眠はかさなる

  廃市をおわれるように覆うならなるべくふかく

  うずみ火のたてにさけたすきまを埋めて

  割れたまま消長する燠

  わたしは

  まなこがいだく無言歌にみがかれてほそる

 

 

 

 

  

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