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2020年6月24日 (水)

『よその島』井上荒野  中央公論新社

2017年11月20日から2018年8月24日まで「読売新聞」(夕刊)に連載された

単行本化。

紀伊國屋書店に平積みされていたので思わず手に取ってしまった1冊。

帯の惹句が私をいざなう。

 

        長く歳月を共にしても、

        一緒に辿り着けない

        場所がある。

 

碇谷芳郎・蕗子夫婦とその友人の小説家・野呂晴夫は東京から離れた島で

共同生活をはじめる。余生を送るための離島での暮らし。

その3人のもとに家政婦・仙崎みゆかが息子・宙太と共に住み込みとして

同居する。

 

それぞれがそれぞれの過去を持ち〈秘密〉を胸に抱えている。

カルチャー教室の講師になった野呂晴夫の恋愛も挟まれるが、やはり、この長編は

夫の芳郎と妻の蕗子の「魂の交感」にあるようだ。

どちらが是か、非か、ではなく、善悪で判断できない、どうしょうもないような夫婦の

心の軋轢? たましいの交感。

 

ミステリアスな文体と、時に詩情のあることばに、315ページを

一気呵成に読んでしまった。

 

 

     記憶というのは誰の頭の中でだって、若いひとの正常な頭の中ですら、

     つねに更新される宿命を持っているのだ。きっと、十年後、もしも

     私がまだ生きていたとしたら、今日のことをどんなふうに思い出す

     のだろう。

     「私が島へ来たのは……」

 

 

               2020年3月10日 初版発行

                 1700円+税   

 

 

 

 

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