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2020年6月26日 (金)

柘榴忌(鶴逸喜忌)

1977(昭和52)年6月26日、享年49歳で亡くなられた鶴逸喜(つる いつき)さんの

本日は命日である。

 

     盛りあがり峡の若葉は日々鮮(あた)らしなべてを耐えて生き来ぬ、戦後

     敗兵の日の記憶にて血を吐きし瞳(め)に涯もなき海原の紺

     熱募りくる午後にしてまどろめばまぼろしの中揺らぐ火焔樹

         鶴逸喜歌集『火焔樹』(葦書房 1977年12月刊)

 

鶴逸喜さんはわたしにとって初めての短歌の師であった。

鶴さんによって短歌の「在るべき姿」を学んだといってもいい。

亡くなられて早や43年、梅雨どきになると鶴さんのことが思い出される。

 

「朱色の柘榴の花が好きだつた」鶴さん。

「摘(つま)みはいつも枝豆だつた」鶴さん。

ビールが好きで、ビールばかり飲んでいた、鶴さん。

 

    雨に濡れ朱(あけ)つやめける柘榴の花在りし日のきみ愛したる花

    水無月の死は忘れられ柘榴忌の柘榴の花の雨に濡れゐる

        恒成美代子歌集『夢の器』(ながらみ書房 1992年6月刊)

 

ことし、わたしは未だ「柘榴の花」を見ていない。

もう、終わったのだろうか。

柘榴の花を訪ねることも出来なかったまま、柘榴忌を迎えている。

                 

    運命を泣くのはお止(よ)し 亡きひとにあの世へゆけば逢へるだらうか

                 2020年6月26日作  恒成美代子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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