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2020年9月10日 (木)

読み残したる部分にはよみ終へし頁を照らす月光がある     岡井隆

本日のブログのタイトルの歌は、岡井隆歌集『ネフスキイ』の中の1首。

この歌集の中でいちばん好きな歌と語っていたのは小澤實氏だった。

 

当ブログの9月6日でも紹介した『現代詩手帖』の2010年6月号。その特集の

「短詩型新時代ーー詩はどこに向かうのか」での対談のゲストは岡井隆さんであった。

副題が「岡井隆とゼロ年代の詩歌」で、松浦寿輝・小澤實・穂村弘各氏の鼎談だった。

 

この鼎談を読むことによって前回のブログに記した謎が解けていったことを

お知らせしたいと思う。

岡井さんと谷川雁の関係というか、岡井さんが谷川雁に対してどのように考え、思って

いたかということ。

「リュウ(岡井さんのこと)よ、これを読め」と言い「谷川雁も石原吉郎もみんな塚本さんに

教えられた」と、岡井さんが語っていることだ。

塚本邦雄はつよい指導性があったとも語っている。

 

   岡井  谷川雁の言葉については、今度の作品にも書いたんだけど、「「瞬間の王」は

       死んでよかった」というのがぼくの結論。谷川の晩年の詩をみんな評価しませんね。

       ぼくなんかは信濃に行ってからの詩や評論、児童教育のことにしても、いい仕事だと

       思う。 (略)

 

   岡井  谷川雁に関しても、若いころの作品、ようするに「自分のなかの瞬間の王」によって

       書かれたものもすばらしいかもしれませんが、じゃあ最晩年に信濃に行って「十代の会」

       をやって、それがまったくゼロだったのかと言えばとてもそうは思えない。あれだけの

       優れた詩人だからね、児童教育のエッセイにしたって、信濃に行ってからの信濃

       毎日新聞の連載詩だって読むべきものがあるはずです。みんなちゃんと読んでいない

       んじゃないですか。 (略)

 

岡井さんの300行の長篇詩のなかで谷川雁の死を「死んでくれてよかった」と書かれていたので

ショックだったが、この鼎談でのゲストとしての発言では「ただそれも自分が長生きしたから

やっとわかったことで、」とも語っている。

(岡井さんの長篇詩「食卓で洟(はな)を嚔(ひ)りながら書いた詩」のことについては、

 2020年9月6日の当ブログをお読みいただければ幸甚です。)

 

長生きをしてようやくわかるということもあるのだと思った。

やっぱり、岡井さんは正直なひとだと思う。「自分が長生きしたからやっとわかった」とは、

なかなか言えない言葉ではないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

      

 

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