映画・テレビ

2020年10月10日 (土)

映画「浅田家 ! 」 中野量太監督

写真家・浅田政志の写真集と書籍の原案を映画化。

浅田氏は家族写真(家族がコスプレして撮影する)によって木村伊兵衛写真賞を

受賞している。

 

浅田家の政志(二宮和也)がこの映画の主人公。

主夫業(平田満)の父と、看護師の母(風吹ジュン)そして、兄(妻夫木聡)の家族が

マイペースな生き方を貫く政志に、はらはらしながらも付かず離れず、むしろ撮影に関しては

なりたかった消防士に扮したりして、協力的なのが好ましい。一家全員でコスプレして撮影する

なんてなかなか出来ないことである。

 

後半では、東日本大震災により、シリアスな状況となるが、そこでの政志のヒューマンな関わりが

この映画を、深い豊かなものにしている。

泥だらけになった写真を洗って返却する活動に出会い、政志も写真洗浄のボランティアをする。

(このボランティアの青年を演じているのが、菅田将暉とは最初わからなかった。なんかステキな

 青年と思いつつ、よくよく観ていたら菅田将暉だった。やっぱり存在感がある(笑) 映画「糸」の

 時の役を払拭して演じていたのは流石と思った。黒縁メガネが誠実な真面目な青年を具現して

 いた。)

 

二宮和也ファンにとっては、たまらない魅力の詰まった映画。

政志が福島で家族写真を撮っているとき、涙が一粒こぼれるシーンはとても美しかった。

 

なお、わたしの大好きな黒木華が政志の恋人役?として、出演していた。

 

 

 

2020年9月20日 (日)

映画「ミッドウェイ」

第二次世界大戦でのミッドウェー海戦の壮絶な空中戦を描く。

日本とアメリカの司令官たちの頭脳戦ともいえる策略にハラハラドキドキの

3日間の攻防。

 

両軍の空中戦はその音響効果と共に映像が素晴らしい。

素晴らしいなどとここで感嘆するのも憚られるが、戦争の悲惨さを存分に描いている

のは確かだろう。

 

出演に豊川悦司や浅野忠信、國村隼がいたが、豊川などはじめ見た時には気付かない

くらいの軍人ぷりであった。

 

勝国であるアメリカからの映画だが「日米両軍に敬意を捧げて史実を再現した」とは

いえ、なんとも歯痒いような後味の映画であった。

 

      海が全て知っている。

      海は全て記憶している。

 

 

      2020920

        2020年9月20日 那珂川朝景 日の出

 

 

 

 

 

 

      

 

 

 

 

2020年9月 9日 (水)

映画「ひまわり」50周年HDレストア版

第二次大戦後のイタリア。

戦争へ出征し、帰還しない夫・アントニオ(マストロヤンニ)の消息を確かめるために

ソ連へ赴く妻・ジョバンナ(ソフィア・ローレン)。

消息不明の夫だが生きていると信じている。

第二次世界大戦での、戦争によって引き裂かれた男女・夫婦の愛を描いている。

 

ロシアの広大な平野に地平線まで広がるひまわり畑。

ものがなしい旋律のテーマ曲。

(ひまわりの花ってホントは明るいイメージなのだが、

 このテーマ曲が流れると涙が出てしまう。)

 

ようやく探しあてた夫だったが、極寒の地で救ってくれた人と新しい家庭を築いていた。

その衝撃・悲しみ。

 

この映画は1970年製作、当時とても評判だったので観ていたと思うのだが、

改めて50周年版として観ることができて懐かしかった。

観客も多く、どちらかといえば高齢のかたが多かったような……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年8月29日 (土)

映画「糸」監督・瀬々敬久

中島みゆきの「糸」から構想を得た映画。

いまもっとも〈旬〉な俳優・菅田将暉と小松菜奈が共演。

 

平成元年生まれの漣(菅田)と葵(小松)の18年に及ぶ恋の物語。

中島みゆきの「縦の糸はあなた 横の糸はわたし」を思わせる紆余曲折が

仕組まれている。

 

この映画は北海道の富良野・美瑛が舞台でもあり、それも楽しみだった。

何より菅田将暉がいい。どのような役でもその役を見事に演じる菅田に魅了される。

 

そして、意外だったのは斎藤工。沖縄での斎藤のやや崩れた感じは素敵だった。

 

 

 

 

 

 

2020年8月15日 (土)

映画「東京裁判」監督・小林正樹

戦後75年の特別上映「東京裁判」を観ることができた。

4時間37分の上映時間の長さが感じられないほど、迫力のあるものだった。

(途中・休憩あり)

 

 

敗戦国・日本が裁かれたこと。

しかし、それぞれの被告に弁護人が付き、なかでもアメリカ人弁護士は

人権のために奮闘していた。

 

戦争はどうして起きたのか、戦争を回避することはできなかったのか。

日本の軍国主義の歩みを改めて知ることができ、世界情勢などの近代の歴史が

沢山のフイルムによって臨場感をもって迫ってきた。

 

この映画ではじめて天皇陛下の玉音放送を全文・字幕付きで聴くことができた。

更にいえば、新憲法の条文が大きな字幕でスクリーンいっぱいに映しだされた時は

涙が零れた。

 

戦争は絶対あってはならないこと。

そして、改憲はゼッタイあってはならないことだ。

 

この映画を若いひとたちにも観てほしい。

 

(東條英機ら被告人の顔・声・姿すべて実物であるのは裁判記録のフイルムを

 もとに構成されているため)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年8月 3日 (月)

映画「劇場」行定勲監督

夢を追う青年と、その青年の夢を支え続けるひたむきな女性の恋の物語。

せつなくて、何度も泣いてしまった。

(夢や野望を持っている男に近づく勿れ…と思わぬでもないが…)

 

原作は又吉直樹の小説『劇場』。

永田(山﨑賢人)と、沙希(松岡茉優)の心の揺れが痛いほど伝わってきた。

沙希のアパートに転がり込んだ永田。

それを受け入れ、どんな時でも包み込む沙希。

「ここがいちばん安全」と。

あんなに包容力のある沙希が「もうわたし27歳よ、まわりのみんな結婚してしまった。」

と訴える。

 

それにしても山﨑賢人の髪型・髭面・着こなしは、これ以上ないくらいはまっていた。

そして、松岡茉優の愛らしさは〈天使〉。

〈天使〉が〈神さま〉に……

 

そういえば、あれって思う人が出演していた。

そう、King Gnu の井口理。実年齢よりおじさんに見えたりしたけど(笑)

 

恋愛中のあなた、恋に憧れているあなたに、ゼッタイお勧めの映画。

いや、年齢に関係なく、この映画は心を浄化してくれそう。

 

 

 

 

 

2020年7月26日 (日)

映画「ステップ」山田孝之主演

重松清の同名小説の映画化。

結婚3年目、30歳で妻に先立たれた健一(山田孝之)、男手で2歳の娘・美紀を

育てる。保育園から小学校卒業までの10年間の物語。

 

仕事と家事・育児をこなす健一の我武者羅な頑張りは胸が痛む。と、同時に女の子の

心の揺れに涙し、何度も涙を拭う。

 

義父役の國村隼。義母役の余喜美子の好演。

会社の同僚の奈々惠役は広末涼子。(娘・美紀の母親になりそうな予感)

 

シングルファーザーも増えてきている昨今とはいえ、この映画を観ていると

つらい。泣けてしまう。

辻仁成の小説『父』でもそうだったが「日々をこなす精一杯さのおかげで、

悲しみを乗り切る手助けとなった。」のだろう。

 

健一がカレンダーに書き込んだ「再出発!」の力強い文字。

さあ、わたしも愚図愚図、グダグダ言うのはやめて「ステップ」。

 

 

 

 

 

2020年7月16日 (木)

NHK Eテレ 「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」 井上荒野

スマホの目覚ましが22時40分でいきなり鳴り出した昨夜。

何だったのか急には思い出せなかった。

 

ああ、そうだ、今夜は井上荒野さんちの愛猫・松太郎クンがテレビに出るのだった。

テレビの前で待機。

ものを書く荒野さんの傍らにいつもいる松太郎クン。

お二人(夫君も)が揃って松太郎クンを愛している様子がびんびん伝わってくる。

 

長野の別荘?というか、セカンドハウスでの様子が実に豊かに映像にとらえられていた。

食事している時、夫であるかたがさりげなくキッチンに立つ姿。それを止めもしない荒野さん。

この信頼関係というか、キッチンが男女関係なく機能していることが窺えた。

 

「夫婦という謎(なぞ)」

 

20歳の松太郎クンのいのちもさることながら、

「乗り越えるしかない、生きている以上は。」

 

 

 

👀

おっと、いけない出掛ける時間になった。

これから2件の用をして来ます。

 

 

 

 

 

2020年6月27日 (土)

映画「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」

ルイ―ザ・メイ・オルコットの『若草物語』の映画化。

四姉妹の青春が描かれている。

(四姉妹といえば、わたしも現実に四姉妹のなかの一人。)

 

   結婚が何よりの幸せと信じている長女。

   小説家になることが全ての次女。

   お金が何よりであると考えている四女。

   三女は早くに亡くなってしまったが…

 

小説家になるために熱烈なプロポーズを断ってしまった次女。

女の幸せが結婚なんていうのは可笑しい、間違っていると言いつのった次女。

断ったものの、思いかえす。だが、時おそく…

 

結婚とは、幸せとは、生きるとは……

何なんだろうね。

 

(あと、感心したのは印税の駆け引きや著作権を譲らなかった次女はしっかり「生きている」)

 

 

 

 

 

2020年4月 2日 (木)

映画「つつんで、ひらいて」監督・編集・撮影             広瀬奈々子

15000冊もの書をデザインした装幀者・菊地信義と、本をつくる

人々を、3年間にかけて追ったドキュメンタリー。

 

タイトルの文字の書かれた紙をくしゃくしゃに丸めてしまう。それを

再び広げ、丁寧に平らにしてコピーをとる。そうすると、どうなるか ?

コピーされた文字は擦れる。そのかすれた風合いをデザインとしてつかうのだ。

菊地信義は「こさえる」という言葉が好きなようだ。

「こさえる」は「拵(こし)らえる」であり、手作り感の伝わる職人の仕事みたい。

 (このくしゃくしゃに丸めてコピーした文字といえば、吉本隆明の『追悼私記』

JICC出版局 1993年3月刊 がある。)

 

 

仕事場の机の上で、文字を選ぶ。

それを鋏で切りとる。切り取った文字を貼ってゆく。

カバーのタイトルの文字を斜体に貼る。1ミリの間隔に拘りながら。

 

この斜体の文字といえば、干刈あがたの『アンモナイトをさがしに行こう』

(福武書店 1989年刊)と、同じく干刈あがたの『ウォークinチャコールグレイ』

(講談社 1990年刊)がある。一時期、干刈あがたのファンでもあった私は、

菊地信義と干刈あがたが同年生まれであることを知った。

干刈あがたの『どこかヘンな三角関係』(新潮社 1991年刊)には、お二人の

交友?が綴られている。題して「菊地信義さんと〈ピンク色〉と私の関係」。 

 

さて、映画の方は古井由吉の新刊の装幀から印刷までの過程を見せてくれる。

そのあいまあいまに、喫茶店「樹の花」でのひとときや、自宅でレコードを

聴いているところや、骨董市での菊地信義の姿を追う。

いずれも絵になっている。お洒落なのだ。あの黒で統一された着衣はホントに

この映画に相応しい。

 

現在では当たり前みたいになってしまったカバーのタイトル文字を帯に跨がらせる

方法。これなど私は勝手に菊地信義が考案したものではないかと思っている。

先ほどの吉本隆明の『追悼私記』は、「追悼私」までが表紙カバーにあり「記」は

帯に記されている。勿論、カバーにも「記」は入れてあるのだが、帯で隠れるように

なっている。

このタイトル文字をカバーと帯に跨がらせる方法は、干刈あがたの『ワンルーム』

(福武書店 1985年刊)では、帯に「ム」だけ跨がらせているのだが、帯の白地は

実際の帯でなく、カバーの下段を白地にして帯に錯覚させていることだ。

 

こういった魔法のような手口で最も意表を突いたのは、『吉本隆明 鮎川信夫論』・

『鮎川信夫 吉本隆明論』だ。これは2冊の書ではなく、1冊で2通り、即ち、背表紙

の文字が一つは逆に印刷されてあり、ページを開く時も、吉本からも鮎川からも開く

ことができ、奥付まで1冊の書に2個所あることだ。

こんなこと考えだしたのは菊地信義しかいない(笑)

本棚に並べると、当然どちらかは逆さまになるのだけど……

 

最後につけ加えたいのは、菊地信義の弟子?でもある

水戸部功氏の言葉。 

 

        装幀は、本来シンプルなものほど良いはずなんだけれど、

    依頼者は何かを加えたがる……

 

本好きのかたには、是非お勧めの映画。

(入口で熱を測られ、席も飛び飛びの距離になるけど…)

 

そして、劇場用パンフレットが1000円。

これが、また凝っている。まさに「つつんで、ひらいて」の装幀であった。

63ページもあり、眺めておくだけでも愉しいパンフレットである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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